Saturday, July 31, 2021

2021年トレード期限① Scherzer, Turnerをトレード

現地7月29日の夕方から30日にかけての6時間ほどの間になんと4本のトレード、さらにトレード期限の翌30日にも2本がまとまり、Max Scherzer, Trea Turner, Daniel Hudson, Brad Hand, Kyle Schwarber, Yan Gomes, Josh Harrison, Jon Lesterとなんと8人もの主力選手をトレードで放出することになりました。

Max Scherzer, Trea Turner, Daniel Hudson, Yan Gomesの4人は2019年のWS制覇チームの主力中の主力であり、Brad Hand, Kyle Schwarber, Josh Harrison, Jon Lesterも今シーズンの主力メンバー。本来であれば1人1人の選手についてもっと詳細に書きたいところですが、さすがにこれだけ重なるとやや薄くなることはご容赦頂ければと思います。

2008年からナショナルズをフォローし始めた私にとってもこれほどのファイアーセールは初めての経験。今季の悲惨なチーム成績によりこのような事態となったことは本当に残念ですが、意外に前向きな気持ちでいます。トレードで放出することになったベテランたちには感謝の気持ちばかりですし、それぞれの移籍先で貢献し、ポストシーズンで活躍する姿を応援する楽しみができました。また、ナショナルズにとっても、近年弱い弱いと言われていたマイナー組織を一気に補強できました。今回加わった選手たちが次の常勝チームの核となる選手に育ってくれることを期待して見守る楽しみもできました。既にメジャーデビューをしている選手も多いので、意外とその日は近いかもしれないと思ったりして。

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何せ件数が多いので、記事を3つに分けます。この記事ではMax ScherzerとTrea Turnerのドジャーズへのトレード、次の記事でDaniel Hudson, Brad Hand, Kyle Schwarberについて、3本目でYan Gomes, Josh Harrison, Jon Lesterについて書くことにします。

● Max ScherzerとTrea Turnerをドジャーズへトレード

どこから手をつけたものかという感じですが、とりあえずScherzerの話からしましょうか。

2015年の1月にFA契約を結んだ時の興奮は今でも覚えています。30歳の投手に7年契約は長すぎるといった懐疑的な声もありましたが、終わってみれば史上最高のFA契約といわれるほどの大成功でした。

計189試合に先発し(ほとんどIL入りしなかったということです)92勝(この間のMLB最多)47敗。防御率2.80、WHIP 0.962、1610奪三振(圧倒的にMLB最多)。リーグ最多勝2回、リーグ最多奪三振2回。6度のオールスター選出に、2度のサイ・ヤング賞。2度のノーヒッターを記録。ほかに20奪三振試合もあったし、顔面に自打球を当てて目の周りにあざを作りながら投げた試合もありましたね。ポストシーズンでももちろん活躍。2019年のWSでは第1戦で勝ち投手となった後、予定されていた第5戦の先発を首の痛みで回避してファンを慌てさせましたが、最終第7戦にはなんとか間に合わせ5回を2失点。降板時点ではリードを許していましたが、万全でないながらも粘りの投球で試合を作った姿はチームを鼓舞するものだったでしょう。

この7年間、常にファンをわくわくさせてくれました。序盤はノーヒッターを期待させ、初ヒットを打たれるとがっかりするのがいつものことでした。「奪三振はセクシー」という表現がぴったりの奪三振ショー。そして、球数が100球を過ぎてこの回で終わりと自覚してからの気合の入った締めのピッチングの素晴らしさは圧巻でした。同時代の最強投手を5日おきにフォローできたことに感謝の気持ちしかありません。最後にトッププロスペクトを置き土産にしてくれて、ますますありがとうという気持ちです。

これでいったんナショナルズを離れますが、今シーズン終了後にはFAとなります。どう考えてもまだ引退はしないでしょうから、是非ナショナルズに戻ってきてほしいと思っているファンは大勢います。

もしそれが叶わなくても、キャリアで最高の時期を過ごしたのがナショナルズであることは(とりあえず)間違いありません。殿堂入りの際にはナショナルズのキャップとを被った姿でプラーク(銅板の額)に刻まれる最初の選手になる日が待ち遠しいです。

続いてTrea Turner

厳密な意味での生え抜きではありませんが、プロスペクトとしてトレードで獲得した若者がメジャーリーガーとして活躍するようになる姿を見守ってきたので(トレードの経緯やメジャー定着まではこちらの記事をご参照ください)やはり寂しいですね。

奇しくもSchezerの加入と同じ2015年にメジャーデビューし、今季が7年目。637試合で2803打席に立って、.300/.356/.487、93本塁打、306打点、192盗塁。盗塁数と足を活かした32本の三塁打は球団ワシントン移転後の最多記録。タイトルは2018年のリーグ最多盗塁と2020年のリーグ最多安打。そして特筆すべきは、MLBタイ記録となる3度のサイクル安打でしょう。

スーパースター揃いの今のMLBのショートの中ではあまり目立ちませんでしたが、WS制覇のチームで主力として活躍したことで存在感を示し、短縮シーズンとなった昨シーズンの活躍で一気に評価を上げました。28歳となった今シーズンは初のオールスター選出。野球選手として一番いい時期を過ごしていると言っていいでしょう。

FA権の取得まで1年残しているので契約延長への期待感もありましたが、ショートの契約が全体的に高騰していることもあって契約延長が難しいとフロントが考えたことはやむを得ないかと思います。特に、Juan Sotoとの契約延長を優先するなら、ここで放出という判断は十分納得できます。

それにしても、まさかこの2人がセットでトレードに出されるとは思いもよりませんでした。MLB全体で見てもこれだけの選手2人をパッケージで送り出すことは極めて珍しいと思います。だからこそ、これに対してナショナルズが得たパッケージも大きなものとなりました。

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獲得したのは、Keibert Ruiz捕手、Josiah Gray投手、Gerardo Carrillo投手、Donovan Casey外野手の4人のプロスペクト。Keibert RuizとJosiah Grayは、直近のMLB Pipelineのプロスペクトランキングではドジャーズの上位2人(全体でもトップ50くらいにランクされる2人)。2人とも短いものながらメジャーデビューを済ませており、今季はAAAでしっかり成績を残しているので、来季には十分戦力と期待していいでしょう。

ベネズエラ出身の23歳の捕手。右投げ両打ち。打撃が高く評価されており、左右どちらの打席でもパワーヒッターと評価されている。三振数の少なさも特筆すべき。2020年8月にメジャーデビューして2試合。今季はメジャーでも6試合に出ていますが、主にAAAでプレーし、52試合で16本塁打、1.000を超えるOPSと打撃好調。守備は平均的という評価だが打撃で十分カバーできるため、メジャーで正捕手となるのはほぼ確実と言われている。

23歳の先発右腕。2017年ドラフト2巡目でレッズに入団し、2018年のオフにトレードでドジャーズへ。90マイル台半ばの速球と2種類の変化球は完成されており、メジャーのローテーション投手となるのはほぼ確実と言われている。マイナー3シーズンの通算防御率は2.41。今季はAAAで開幕し、7月20日にメジャーデビュー。2試合とも失点したが、計8イニングで13奪三振と高い奪三振率。

メキシコ出身の22歳の先発右腕。球速は100マイルに達するがやや制球難があり、今季は初挑戦となったAAで苦戦中。将来的にはブルペン転向か。

右投げ右打ちの外野手(今季はライトとセンターを守っている)。2017年ドラフト20巡目でドジャーズに入団。順調にステップアップし、今季はAAで好成績を収めている。長打力もそこそこあり、盗塁もかなり多い。

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