Thursday, December 12, 2019

2019 ALL-MLBにScherzer, Strasburg, Rendon, Soto

12月10日、新設された「ALL-MLB」が発表されました。

これまでMLBでは夏にオールスターが開催され、これに選出されることが1つのステータスとなってきましたが、選出の基準となるのはもっぱらシーズン前半の成績(野手はファン投票で先発メンバーを選びますが、投手はファン投票さえなく決まっています)。しかも各球団少なくとも1人は選出されるというルールもあり、必ずしもベストメンバーとは言えないのが実情でした。また、シーズン終了後にはMVPやサイヤング賞といった個人表彰も行われてきましたが、これらはレギュラーシーズン終了後、ポストシーズンが始まる前に行われた記者等の投票で選出され、つまりポストシーズンでの活躍・貢献はその評価の対象とはされてきませんでした。

今回新設されたALL-MLBのコンセプトは、ポストシーズンまで含めたその年のMLBを代表する選手を表彰しようというもの。ファン投票が5割、記者、元選手などで構成されるパネルによる投票が5割のウエイトを占める投票に基づき選出(ただし、得票数などは公表されません)。ファン投票は、MLB機構が選んだ候補者リストの中から選ぶ形になっていて、リーグの区別なく、内野手の各ポジション1人ずつ、外野手はポジションの区別なく3人、DH1人、先発投手5人、ブルペン投手2人の計16人を選ぶものでした。これをファーストチームとセカンドチームの2セット表彰(この最後の部分は発表されるまで知りませんでした。)。

その栄えある第1回、2019年のALL-MLBに選出されたのは次の選手たちです。おめでとう。

First Team 
C: J.T. Realmuto, Phillies
1B: Pete Alonso, Mets
2B: DJ LeMahieu, Yankees
3B: Anthony Rendon, Nationals 
SS: Xander Bogaerts, Red Sox
OF: Mike Trout, Angels
OF: Cody Bellinger, Dodgers
OF: Christian Yelich, Brewers
DH: Nelson Cruz, Twins
SP: Gerrit Cole, Astros
SP: Justin Verlander, Astros
SP: Jacob deGrom, Mets
SP: Max Scherzer, Nationals 
SP: Stephen Strasburg, Nationals 
RP: Kirby Yates, Padres
RP: Josh Hader, Brewers

Second Team 
C: Yasmani Grandal, Brewers
1B: Freddie Freeman, Braves
2B: José Altuve, Astros
3B: Alex Bregman, Astros
SS: Marcus Semien, Athletics
OF: Ronald Acuña Jr., Braves
OF: Juan Soto, Nationals 
OF: Mookie Betts, Red Sox
DH: Yordan Álvarez, Astros
SP: Zack Greinke, Diamondbacks/Astros
SP: Hyun-Jin Ryu, Dodgers
SP: Jack Flaherty, Cardinals
SP: Charlie Morton, Rays
SP: Mike Soroka, Braves
RP: Aroldis Chapman, Yankees
RP: Liam Hendriks, Athletics

ナショナルズからは、Max Scherzer, Stephen Strasburg, Anthony Rendon, Juan Sotoの4人。夏のオールスターがScherzerとRendonの2人のみ、シーズン終了後の各賞受賞もRendonのシルバースラッガーのみだったナショナルズでしたが、それが4人。ファーストチームに限れば3人選出と、チーム別最多勢力。ポストシーズンを含めて評価すればこれほど違う、という証明になりました。

全体も見ておきます。

まず、チーム別で見ると、WSを争ったアストロズから最多の6人(途中加入のGreinkeを含む。)。MLB最高勝率のチームでしたから順当な結果かと思います(サイン盗み疑惑はちょっと横に置いておくとして)。ナショナルズの4人が続き、ブレーブス3人、ブリューワーズ3人、ヤンキース2人、ドジャーズ2人、アスレティックス2人、レイズ、ツインズ、カージナルスが各1人。以上、ポストシーズン進出チームからは少なくとも1人は選出されました。ここまでで全32人のうち25人を占めます。残りの7人は5球団から選出されており、つまり、選出があったのは30球団のちょうど半数の15球団からということになりました。

シーズン終了後の各賞と比較しておくと、まず、両リーグの新人王(AlonsoとAlvarez)はいずれも選出。サイヤング賞も、ナ・リーグの上位6人に対し、ア・リーグは3位までと差はありましたが、順当に上位が受賞。ただし、サイヤング賞でナ・リーグ5位だったStrasburgがファーストチームに選ばれたのは、もちろん、ポストシーズンでの活躍のおかげでしょう。MVPになると、ポジションの兼ね合いから上位ながら漏れた選手も出てきますが、特にナ・リーグ9位(外野手に限っても5位)だったSotoが選出され、同じ外野手の3位だったKetel Marteが漏れたのは、やはりポストシーズン効果といえるでしょう。

こうして選出された第1回の受賞者を見ると、かなり納得感のあるものに感じられます。ただ、11月25日に突然実施が発表され、わずか1週間後の12月3日がファン投票の締め切りというスケジュールなど運営には疑問を持たざるをえませんでした。私の周りのMLBファンの間でさえ、ほとんど話題になっていませんでしたから。ワールドシリーズ直後のほうがファン投票は盛り上がるのかな。でも、ポストシーズンの余韻が強く残り過ぎているような気もします。そいう意味で11月末というのは絶妙のタイミングなのかな。などといろいろ議論を呼びそうですが、ともかくも、今後、歴史を重ねてより価値のある賞となっていくことを期待しています。

Anthony Rendonがエンゼルスと7年契約

ここ数年、FA市場の動きが遅い傾向が見られましたが、今年は違います。一昨日のStephen Strasburgに続き、昨日はGerrit Coleがヤンキースと9年3億2400万ドルという巨額契約を結び、Strasburgの記録をわずか1日であっさり更新。そして今日(現地11日)も、FAとなっていたBlake Treinen(ドジャーズ1年1000万ドル)、Tanner Roark(ブルージェイズ2年2400万ドル)という元ナショナルズがそれぞれなかなかの契約を手にするなどいろいろと進展があり、そして、Anthony Rendonがエンゼルスと合意に至りました。

契約内容は7年2億4500万ドル。奇しくもナショナルズとStephen Strasburgの契約と全く同じ数字となりました。違いはStrasburgの契約は一部が後日支払いとなっていること。ナショナルズはRendonに対して何度か2億ドルを超える契約を提示したものの、いずれも一部後日支払いが含まれており、Rendonはこれを嫌ったという旨の報道がありますが、そもそも金額的にもこの規模までは出せなかったのではないかと思います。

2011年ドラフト1巡目(全体6位)で入団してから7年。Ryan Zimmermanの後を受け継いでホットコーナーで華麗な守備を披露しながら、打撃でもコンスタントに好成績を残してきました。昨シーズンまではBryce Harperの影に隠れて過小評価されてきましたが、Harperが退団した今季はまさに中軸として活躍し、MLB最多の126打点で打点王。ポストシーズンでも印象に残る大活躍でした。

チーム内でHarperの影に隠れていただけでなく、ナ・リーグの三塁手としてもロッキーズのNolan Arenadoには少し劣るという評価をされてきました。しかし、今シーズンの活躍でいよいよ評価を覆し、先日発表された2019 ALL-MLBのFirst TeamにArenadoを差し置いて選ばれるなど、まさに今のMLBを代表する三塁手となりました。今回の契約も、Arenadoは 契約延長だったので単純に比較はできませんが、並ぶかあるいは少し上回る内容。まさにMLBで最も高い年俸を取る三塁手となりました。これだけしっかり評価される選手に育ってくれたことに喜びを感じます。

ずっとフォローしてきたファンとしては、寂しいのも事実ですが、まずはありがとうと言いたいです。エンゼルスでは、Mike Trout、大谷翔平とともに主軸を打つことになるはず。日本での露出も増えそうですね。幸いリーグも違うことですし、これからのますますの活躍を応援しています。

Wednesday, December 11, 2019

Javy Guerraとマイナー契約

先日ノンテンダーFAとなったJavy Guerraとマイナー契約を結びました。100万ドルが保証され、メジャー昇格で150万ドルまでアップする内容。これなら(球団側とすれば)130万ドル程度と予想されていた年俸調停プロセスでもよかったのではないかという気もしますが、まあいいです。また1人、WSメンバーが帰ってきてくれることになって嬉しいです。

Tuesday, December 10, 2019

Stephen Strasburgと7年2億4500万ドルで再契約

よっしゃー!というのがツィッターで知ったときの第一声でした。

ウィンターミーティング初日、現地12月9日の夜、FAとなっていたStephen Strasburgとの再契約が成立しました。7年2億4500万ドル。総額でも平均年俸(3500万ドル)でもMLB投手史上最高額の記録的な大盤振る舞い。オーナー一族が思い切ってくれました。まあ記録自体はすぐにGerrit Coleに抜かれる可能性が高そうですが、そこは問題ではありません。

Strasburgが戻ってきてくれる、その事実に歓喜です。FA前年だった2016年に契約延長に応じたStrasburgなのできっと戻ってきてくれるに違いないと期待していましたが、キャリアベストのレギュラーシーズンを過ごし、ポストシーズンでも活躍。そしてWSでMVP。これ以上ないほど価値が上がった状態でFA市場に出て、ヤンキースをはじめとするビッグマーケットのチームも参戦しているとあって一抹の不安を感じていましたが、全て杞憂に終わりました。

2009年ドラフト全体1位入団のStrasburgも2010年のデビューから今季が10年目。今回の7年契約にオプトアウトはなく、満了するまで在籍することがほぼ確定。満了する頃にはStrasburgは38歳。メジャー17年のキャリアをナショナルズ一筋で過ごすことになりそうです。今季、Ryan Zimmermanがキャリア15年目を終えたところですが、それさえも上回ることになります(Zimmermanは少なくとも16年目は現役続行のはずですが)。ナショナルズを長く応援しているファンにとってこんなに嬉しいことはありません。

既に、勝利数、奪三振数など数多くの積み上げ系スタッツでは球団のワシントン移転後のトップに立っており、奪三振数ではエキスポス時代を合わせてのフランチャイズ記録保持者。通算勝利数でも現在112勝ですから、Steve Rogersの158勝は軽く超えそうですし、もっと上、少なくとも200勝には到達するところまで見届けたいですね。ともかく、1年でも長く健康に投げてサイヤング賞争いをしてくれることを願っています。

さて、これでローテーションに穴が開く事態は避けられましたが、年俸3500万ドルとかなり予算を割くことになりました。今日の会見でMike Rizzo GMはAnthony Rendonとの 再契約の可能性を否定しませんでしたが、現実的にはかなり苦しいと思われます。まあ、どちらか1人が戻ってきてくれれば十分と思っていましたので、これでRendonのことは快く見送れそうです。あとはZimmermanとしっかり再契約してくれることを期待しています。

Saturday, December 7, 2019

Howie Kendrickと再契約!

WS制覇の立役者の1人で、シーズン終了とともにFAとなっていたHowie Kendrickと再契約しました。625万ドルの1年契約。今季年俸は400万ドルでしたからそれなりの昇給にはなる一方で、他球団(レイズ?)から2年契約の提示を受けながら、ナショナルズを選んで戻ってきてくれました。おそらく2〜4百万ドルをテーブルに置いてきたものと思われますが、来季15年目となる36歳。既に65億円以上を稼いできたことを思うと、数億円よりヒーローとしてナショナルズファンから大喝采を浴びることを選んだことはむしろ合理的な判断かと思います。

Kendrickは年間通じてフル出場できる選手ではないので、今季と同様に、ファースト、セカンドの両ポジションで他の選手と出場機会をシェアしていくものと思われます。

Yan Gomeに続き、一度はFAになったものの戻ってきてくれた選手の2人目。嬉しいですね。もっと続いてくれるといいのですが、どうでしょうか。Mark LernerオーナーがAnthony RendonとStephen Strasburgの両方を連れ戻すだけの資金力はないという趣旨の発言をしたとして話題になっていましたが、両選手の市場価値から言って現実的にはそうなるでしょう。本音ではStrasburgですが、この際どちらでもいいです。どちらかと長期の再契約を結び、そしてRyan Zimmermanとほどほどの水準で再契約してくれれば、文句はありません。

ウィンターミーティングが開催される今週が1つの山場となりそうです。

Wednesday, December 4, 2019

Javy GuerraノンテンダーFA, Koda Glover引退 など

現地12月2日の夜が年俸調停対象選手へ球団側から来季契約を提示するかどうかの期限でした。

対象だったナショナルズの選手は以下の8選手でした。

Trea Turner
Michael A. Taylor
Wilmer Difo
Joe Ross
Javy Guerra
Roenis Elias
Hunter Strickland
Koda Glover

このうち、Javy Guerraだけが契約提示されずFA(ノンテンダーFAと呼ばれる)となりました。WSメンバーでしたが、7月末にも一度DFAされ、Roenis EliasのIL入りのためにすぐに再契約したという経緯があったのであまり驚きはありません。34歳のブルペン右腕。代わりになる投手はいくらでもおり、メジャー最低水準を上回る年俸までの価値はないという判断は妥当なものかと思います。再契約の可能性もありますが、ひとまず、ありがとうと言っておきます。

また、2日の期限直前にKoda Gloverが引退を発表しました。タイミングから言って、ノンテンダーを伝えられての決断かと思われます。2015年のドラフト8巡目で入団し、翌年7月に早くもメジャーデビュー。さらに翌2017年、4月にメジャー初セーブを記録すると、5月は5度のセーブ機会を含め登板した全9試合で無失点の快投を見せ、クローザーに指名されました(当ブログでも月間MVPに選出)。90マイル台後半の速球に高速スライダーとチェンジアップを交えるスタイルで相手打者を圧倒。当時まだ24歳。球団史に名を残すクローザーになるものと大きな期待を寄せられました。が、、、、そのキャリアを故障が台無しにしてしまいました。デビュー直後からいろいろな原因でDL(現IL)入りを繰り返していましたが、クローザー指名を受けた直後に肩の痛みが限界を超え、6月11日にDL入り。そのまま手術となってしまいました。リハビリを経て、2018年8月にメジャーまで復帰して21試合に登板し、防御率こそ3.31とまずまずだったもののWHIPは1.41、奪三振率も以前に比べて大きく低下。復活に向けた微かな期待を持って迎えた今年のスプリングトレーニングでしたが、2月の初登板、肘痛を発症し、1アウトのみで降板。結局、これが最後の実戦登板となりました。才能に溢れていても、故障で投げられなくなって引退。過去にも何人も見てきましたが、やはり残念でなりません。まだ26歳。どんな第二の人生を歩むことになるかは分かりませんが、幸多きものとなることを心から願っています。

残る6人はチームに残ることになりました。

まず、期限を前にWilmer DifoHunter Stricklandが、それぞれ100万ドルと160万ドルで1年契約に合意。自動的に年俸調停プロセスから外れました。ノンテンダーの可能性が囁かれていた両選手でしたが、ひとまずチームに残ります。もっとも、この契約は(通常のFA契約とは異なり)保証されたものではなく、スプリングトレーニング中であれば日割りの支払いだけで解除可能。開幕ロースターに残れないようであれば退団となる可能性もあります。特にDifoはオプションも切れているのでなおさら。近いところでは、昨オフのSammy Solisの例が思い出されます。2人ともWSのロースターからは外れていたし、現時点で戦力としての期待は大きくないはず。それをひっくり返すだけのスプリングトレーニングを過ごすことができるでしょうか。

それ以外の4人、Trea TurnerMichael A. TaylorJoe RossRoenis Eliasの4人には契約を提示。いずれも妥当な判断ですが、Taylorに関しては今だからこそ言えること。センターのレギュラーとして起用されながら打撃不振だった昨シーズンに続き、開幕からの不振で6月には遂にマイナー降格。マイナーでも打てず(AAで.250/.305/.364)。セプテンバーコールアップで合流したとはいえ、さして出番が与えられることもないだろうし、ノンテンダーFAは確実だろうと見ていました。それがまさかの打撃好調でポストシーズンのロースター入り。さらに、Victor Roblesの負傷離脱で先発出場の機会まで得て、NLDSではウィニングボールを掴み、NLCSとWSではホームラン。上昇「率」という点では、ポストシーズンで最も株を上げた選手と言っていいでしょう。来季も外野の控えという位置付けになりますが、代走を含め、少しでも貢献してくれることを期待しています。