Tuesday, June 30, 2020

60人ロースター(ZimmermanとRossが不参加表明)

現地6月28日に、7月3日から始まるキャンプに参加する60人ロースターが公表されました。

Pitchers (36): Fernando Abad, Joan Adon, Dakota Bacus, Aaron Barrett, James Bourque, Ben Braymer, Tim Cate, Patrick Corbin, Matt Cronin, Wil Crowe, Sean Doolittle, Roenis Elías, Tyler Eppler, Paolo Espino, Erick Fedde, Kyle Finnegan, Sam Freeman, Steven Fuentes, Javy Guerra, Ryne Harper, Will Harris, Daniel Hudson, Jake Irvin, Kyle McGowin, Kevin Quackenbush, Tanner Rainey, Seth Romero, Joe Ross, Jackson Rutledge, Aníbal Sánchez, Max Scherzer, Stephen Strasburg, Wander Suero, Austin Voth, Nick Wells, Austen Williams

Catchers (6): Tres Barrera, Welington Castillo, Yan Gomes, Raudy Read, Jakson Reetz, Kurt Suzuki

Infielders (11): Asdrúbal Cabrera, Starlin Castro, Wilmer Difo, Luis García, Howie Kendrick, Carter Kieboom, Jake Noll, Brandon Snyder, Eric Thames, Trea Turner, Ryan Zimmerman

Outfielders (7): Emilio Bonifácio, Adam Eaton, Yadiel Hernandez, Victor Robles, Juan Soto, Andrew Stevenson, Michael A. Taylor

40人ロースターの選手で名前がないのは内野手のAdrian Sanchezのみ。Sanchezはオフのトレーニング中にアキレス腱を断裂し、今シーズン中の復帰は無理との見通しが伝えられています。

そして、翌現地29日に、Ryan ZimmermanとJoe Rossが参加しないことが明らかになりました。Zimmermanは声明を発表し、その中で新生児を含む幼児と高齢で持病のある母親へのコロナウイルス感染への恐れを理由としています。Rossは特にコメントを出していませんが、同種の理由と思われます。Zimmermanは同じ声明の中で「引退ではない」と言っていますが、契約は今季限りなので、このまま引退となる可能性も否定できません。Rossにしてもローテーション投手としての瀬戸際に立っており、今季の奮起が期待されていました。両選手とも苦渋の決断であったことは容易に察せられます。残念ではありますが、現下の状況では尊重するしかないでしょう。

また、他球団ではロッキーズに在籍する元ナショナルズのIan Desmondも今季の不参加を表明しました。理由は同じくコロナウイルスへの感染懸念ですが、注目されているのは不参加の表明の際にインスタグラムに掲載された長文のエッセイ。現在アメリカで起きている反人種差別運動に関し、白人と黒人のハーフという自身の生い立ちからくる経験について書き、MLBに変化を求めるエッセイは心に響く内容で、多くの反響を呼んでいます。ナショナルズ在籍時から人間性の素晴らしさで尊敬を集めていたDesmondらしい話ですね。やや難しい英語表現もありますが、一読を勧めます。

Monday, June 29, 2020

開幕は7月23日か24日(予定)

日本ではNPBが開幕し、順調に日程を消化しつつあります。読売ジャイアンツのGerardo Parraも2戦目でホームランを打つなど活躍してくれていて嬉しい限りです。

MLBもようやく開幕に向けての道筋が付きました。労使交渉の経緯は置いとくとして、開幕予定は7月23日か24日(確定したら記事を書こうと思って待っていましたが、いつまで経っても決まらないので見切りました。)。9月末までに60試合のレギュラーシーズンを消化し、昨季までと同じフォーマットでポストシーズンを行う予定です。もちろん当面は無観客。ナ・リーグでもDH制を採用し、延長に入れば無死2塁からイニングを始めるなど、とりあえず今年に限ったルール変更も多々採用される予定です。

予定予定と繰り返していますが、つまりは、コロナウイルスがある程度抑えられていることが前提です。現状、日本以上に感染の再拡大が報じられているアメリカの様子を見ると、必ずしも見通しは明るくないと言わざるを得ません。日本からは、ただ、祈るしかありません。

そんな不安定な状況にあることもあってか、ファンとしてはなかなか気持ちが入っていきません。キャンプが始まれば盛り上がってくるのでしょうか。

そのキャンプ。フロリダ州やアリゾナ州でのコロナウイルス感染拡大の状況から、各球団のホーム球場で行われることになりました(季節的にも南部の屋外は暑過ぎるはず)。ナショナルズは7月1日が集合日で、トレーニングは3日から。オープン戦が行われるのかどうかは今のところ不明です。

ロースターに関するルールをここで確認しておきましょう。6月28日にキャンプ参加登録選手60人のリストが公表されました(後日別記事を書きます。)。このリストに載っていることが前提で、その上で40人ロースターに入った選手がベンチ入りの対象となります。もちろん、解雇、トレード(8月31日がトレード期限)、故障などがあれば入れ替え可能。

まずはこの60人でキャンプを行い、開幕ベンチ入りは30人。開幕2週間後に28人に減らされ、さらに2週間後からシーズン終了までは26人となります。ベンチ入りから漏れた選手は、ホーム球場の近くでキャンプを継続するようです(マイナーリーグは基本的に中止ということになります。)。ナショナルズの場合は、今季から傘下のA+の本拠地となるはずだったヴァージニア州のFredericksburgに建設された新球場を使うのではないかと言われています。また、アウェイの遠征には、ベンチ入り選手以外に「タクシースクワッド」と呼ばれる3人の緊急補充要員がチャーター便で帯同します(うち1人は捕手)。緊急に選手を呼ぶ必要が生じたときに一般旅客の乗る航空機に搭乗するのを避けるのが目的のようです。

そんなこんなで記事を書いていたら、ちょっとは気分が盛り上がってきました。とにかく無事に開幕してくれることを願いましょう。

Saturday, June 13, 2020

2020年ドラフト結果

今年のドラフトはコロナウイルスのために2日間であっさり終わりました。そして、当ブログとしても必ずしも本題ではないので、あっさり目に記事にしておきます。

1(#22). Cade Cavalli, RHP, Oklahoma 
事前のランキングにほぼ合った順位での指名。近年のナショナルズの指名傾向にぴたりと当てはまる大型右腕投手です。90マイル台後半の速球に4種類の変化球を投げる先発型。大学2年までは一塁手としてプレーしていたそうです。投手に専念してからのキャリアは浅いので、肩肘の消耗は少なくまだ伸び代があるとも言えますが、逆に不安もあります。

2. Cole Henry, RHP, Louisiana State
やはり大型右腕投手。速球は90マイル台半ば。変化球は未完成のようです。

2s. Sammy Infante, SS, Monsignor Edward Pace HS(FL)
Anthony Rendonを FAで失ったことに伴う補填指名権。今回のドラフトで指名した唯一の高校生。ショートとしての肩も含め、攻守ともに評価は高いようです。指名後にコメントを求められ自身の指名をナショナルズにとって「Steal」だと評したあたりまだ若いなと思わざるを得ませんが、そのビッグマウスに見合う選手になってくれることを期待しましょう。ちなみに、高校の先輩にGio Gonzalezがいます。

3. Holden Powell, RHP, UCLA 
大学でもクローザーを務めており、プロでもブルペン投手として育成される模様。

4. Brady Lindsly, C, Oklahoma
1巡目指名のCavalliのチームメイト。まさか指名されるとは思っていなかったという4年生であり、スロット以下の金額での契約が見込まれます。

5. Mitchell Parker, LHP, San Jacinto JC(TX)
先発左腕。特徴的なフォームのようです(動画は見ていません)。昨年の1巡目で指名・入団したJackson Rutledgeと同じJCの1年後輩です。

Tuesday, June 9, 2020

開幕は8月以降が濃厚/ドラフト直前

先進各国におけるコロナウイルスの感染拡大はようやく収まりつつあり、日本のNPBも6月19日に開幕する予定となりました。が、MLBは経営側と選手会の間でサラリーを妥協できないまま時間だけが過ぎ去り、期待されていた7月4日開幕も難しい模様です。対立点についてこのブログで論じることはしませんが、MLBファンとしては空しいですね。野球・ベースボールの世界的な普及に反することだけは間違いないでしょう。 

そんな中ですが、6月10、11日にMLBドラフトが開催されます。今年はコロナウイルスの影響により、大学生、高校生の野球も当然中止。スカウティングが昨秋の時点で止まったままの状態ということもあって、5巡目で終了することになっています。その上で指名されなかった選手とは契約金2万ドル以下なら自由に契約できるそうです。 

ナショナルズは1巡目(全体22位)、2巡目(全体55位)に続いてAnthony Rendonを失ったことによる補填指名(全体77位)があり、3、4,5巡目と合わせて計6人の選手を指名できます。1巡目ではジョージア大のCole Wilcox投手の指名が有力と言われていますね。この状況下ですからなんとも言えませんが、投手がいいとは思います。 

さて、本日の本題です。このブログのテーマである2019年のWS制覇メンバー。この機会に、彼らとドラフトの関わりをまとめてみることにしました。 

以下、ドラフト指名順(2巡目以降の同順位の場合は古い選手から)で並べて見ました。ドラフト時に期待が大きかった順と理解していいと思います。 

1巡目: 
Stephen Strasburg, 2009(#1), Nationals  いまさら紹介するまでもないですね。同じドラフトでは全体25位でエンゼルスに入団したMike Troutが最も成功していると言っていいでしょうが、ナショナルズとしても全く後悔はないでしょう。 

Ryan Zimmerman, 2005(#4), Nationals こちらも改めて言うまでもありませんね。ワシントン移転後最初のドラフトで最初に指名した選手。しかも地元ヴァージニア大卒。その後しっかりと活躍し、まさにFace of Franchiseにふさわしい選手となりました。SIで特集が組まれたこともありましたが、この年の1巡目は野手に恵まれました。全体1位はJustin Upton(Dバックス)。2位がAlex Gordon(ロイヤルズ)。Zimmermanの次の5位がRyan Braun(ブリューワーズ)、7位がTroy Tulowitzki(ロッキーズ)、11位にAndrew McCutchen(パイレーツ)、12位がJay Bruce(レッズ)。少し下って23位にJacoby Ellsbury(レッドソックス)がいるという強烈なメンバーです。 

Anthony Rendon; 2011(#6), Nationals Strasburg、Harperと続いた後の2011年のドラフト1巡目。BAの直前ランキングで1位と評価されながら故障懸念でスリップ。6位でナショナルズが指名したときに、MLBネットワークのライブを見ていて大いに興奮したことを憶えています。同期に全体1位のGerrit Cole(パイレーツ)、3位のTrevor Bauer(Dバックス)、8位のFrancisco Lindor(インディアンス)、9位のJavier Baez(カブス)、11位のGeorge Springer(アストロズ)とスター選手がいる中で、現時点までの通算WARではRendonが1位に耀いています。 

Max Scherzer, 2006(#11), D-backs 高卒時には出身地セントルイスのカージナルスから43巡目で指名されたものの入団せず。ミズーリ大に進学し、しっかり評価を上げて1巡目。7位でClayton Kershaw(ドジャーズ)、10位でTim Lincecum(ジャイアンツ)が指名されたこのドラフトは、この3人で計8度のサイヤング受賞という投手大当たりの年でした 

Trea Turner, 2014(#13), Padres 高卒時にもパイレーツから20巡目で指名を受けましたが、ノースカロライナ州立大に進学し、駿足を活かして盗塁に絡む数多くの新記録を樹立。もっともドラフトとの関係でTurnerが有名となったのはむしろ指名後。2014年12月にレイズ、パドレス、ナショナルズの3チームが合意したトレードでナショナルズへの移籍が決まったにも関わらず、ドラフト指名から1年間はトレードできないという当時のルールにより2015年シーズンの開幕はパドレス傘下のAAで迎えざるを得ないという奇妙な状況に。6月にようやくナショナルズ傘下に移ることができましたが、この一件が元で後にルールが変更されることになりました。 

Joe Ross, 2011(#25), Padres ここまでで初めての高卒入団。ドラフトとしてはRendonと同期になります。パドレスでは全体10位のCory Spangenbergに続く2人目の指名でした。SpangerbergはMLB通算419試合でプレーし、Rossをわずかに上回る通算WARを記録していますが、今年からNPBの西武ライオンズでプレーする予定。Rossが追い抜くかな。 

1巡目補填: 
Sean Doolittle, 2007(#41), Athletics 高卒時にもブレーブスが39巡目で指名。ヴァージニア大に進み、投手兼一塁手として活躍。アスレティックスは野手として指名し、実際2009年までは野手としてプレーしていました(投手にコンバートされたのは故障で1年離脱した後、プロ5年目の2011年)。高校生なら珍しくない話ですが、大学生、それもヴァージニア大レベルの名門大学出身選手には珍しいキャリアです。今なら二刀流で育成されたかもしれませんね。 

2巡目: 
Kurt Suzuki, 2004, Athletics アスレティックスが同じドラフトの1巡目(全体24位)で指名したやはり大卒捕手のLandon Powellの影に隠れる形でプロ生活を始めましたが、勝ったのはSuzuki。2004年ドラフトで指名された全ての捕手で一番の成績を残しています。 

Patrick Corbin, 2009, Angels 2巡目と言っても、この年のエンゼルスは補填指名権がたくさんあったためCorbinは6人目の指名選手。ですが、同期ではTroutに続く成績を残しています(ちなみに、Corbinの前に指名された著名選手はRandal Grichuk、Garrett Richard、Tyler Skaggs)。 

Tanner Rainey, 2015, Reds 25人の中で最も新しいドラフト選手です(年齢はJuan Sotoが一番若いが)。Andrew Stevensonが入っていれば同じ2015年組でしたが、Stevensonがロースター入りしたのはワイルドカードゲームのみでした。 

4巡目: 
Javy Guerra, 2004, Dodgers テキサスの高校から入団。時間はかかりましたが、2011年にメジャーに到達しました。Guerraの通算WARは3.1と決して高いわけではないのですが、同期でドジャーズに入団した選手ではトップだったりします(高卒指名で入団しなかったDavid Priceを除く。)。 

5巡目: 
Daniel Hudson, 2008, White Sox 2008年というと私がブログを始めた年ですが、その最初のドラフト。ナショナルズの指名した選手で最も活躍したのは3巡目のDanny Espinosaでした。 

6巡目: 
Michael Taylor, 2009, Nationals フロリダ州の高校からショートとして入団。高校時代のチームメイトにMatt den Dekkerがいたそうです(フロリダ大に進学、メッツに入団した後、2015-2016年にはともにナショナルズに在籍)。 

8巡目: 
Brian Dozier, 2009, Twins ミシシッピ州の人口4000人の小さな町の農業高校でプレーしていた頃は全くの無名でしたが、南ミシシッピ大学野球部をその100年以上の歴史でただ一度のカレッジ・ワールド・シリーズ出場に導く活躍で評価を上げてプロ入りを果たしました。 

10巡目: 
Yan Gomes, 2009 Blue Jays ブラジル・サンパウロの生まれで有名ですが、12歳の時に家族でフロリダに移住。テネシー大2年時の2008年にレッドソックスから39巡目で指名されましたが契約せず、バリー大に移って少し評価を上げました。10巡目入団ながら、ブルージェイズ同期入団組ではトップのWARを記録しています。 

Howie Kendrick, 2002, Angels 高校時代は全く無名の存在で、大学からのスカラシップも得られず。地元フロリダのコミュニティカレッジに進学してプレーしていたところをエンゼルスのスカウトの目に留まり、入団となりました。他に見にきていたチームはなかったそうです。 

19巡目: 
Adam Eaton, 2010, D-backs オハイオ州では名の知れた高校生でしたが、ドラフト指名の声はかからず。大学も地元オハイオ州のマイアミ大(フロリダの名門マイアミ大ではない)で活躍し、リーグのオールスターに選ばれたりしましたが、ドラフト時の評価は19巡目という厳しいものでした。
23巡目: 
Matt Adams, 2009, Cardinals 25人の中で最も下位で指名を受けて入団したのがAdams。ペンシルベニア州で大学まで行きましたが、高校も大学でも特に注目を浴びることなく過ごしました。カージナルスの同期入団の出世頭はMatt Carpenterですが、彼も13巡目と比較的下位指名。また、21巡目にはTrevor Rothentalがいます。 

ドラフト外(中南米出身選手): 
Anibal Sanchez 
Wander Suero 
Fernando Rodney 
Victor Robles 
Juan Soto 
Adsrubal Cabrera 
Gerardo Parra 
  
指名順でみると、上位指名が多いことは当然ですが、意外にも3巡目指名がいません。指名年で見てみると、2009年ドラフト組(Strasburgと同期)が6人とやたら集中しています。2004年と2011年が2人ずついるだけでほか1人ずつ。
いかがでしたでしょうか?順当?意外?私が驚いたのはDoolittleが野手として指名されて3年もマイナーでプレーしていたことと、Dozierのローカルヒーローぶりですね。また、Kendrickを発掘したスカウトには感謝したいと思います