Tuesday, June 9, 2020

開幕は8月以降が濃厚/ドラフト直前

先進各国におけるコロナウイルスの感染拡大はようやく収まりつつあり、日本のNPBも6月19日に開幕する予定となりました。が、MLBは経営側と選手会の間でサラリーを妥協できないまま時間だけが過ぎ去り、期待されていた7月4日開幕も難しい模様です。対立点についてこのブログで論じることはしませんが、MLBファンとしては空しいですね。野球・ベースボールの世界的な普及に反することだけは間違いないでしょう。 

そんな中ですが、6月10、11日にMLBドラフトが開催されます。今年はコロナウイルスの影響により、大学生、高校生の野球も当然中止。スカウティングが昨秋の時点で止まったままの状態ということもあって、5巡目で終了することになっています。その上で指名されなかった選手とは契約金2万ドル以下なら自由に契約できるそうです。 

ナショナルズは1巡目(全体22位)、2巡目(全体55位)に続いてAnthony Rendonを失ったことによる補填指名(全体77位)があり、3、4,5巡目と合わせて計6人の選手を指名できます。1巡目ではジョージア大のCole Wilcox投手の指名が有力と言われていますね。この状況下ですからなんとも言えませんが、投手がいいとは思います。 

さて、本日の本題です。このブログのテーマである2019年のWS制覇メンバー。この機会に、彼らとドラフトの関わりをまとめてみることにしました。 

以下、ドラフト指名順(2巡目以降の同順位の場合は古い選手から)で並べて見ました。ドラフト時に期待が大きかった順と理解していいと思います。 

1巡目: 
Stephen Strasburg, 2009(#1), Nationals  いまさら紹介するまでもないですね。同じドラフトでは全体25位でエンゼルスに入団したMike Troutが最も成功していると言っていいでしょうが、ナショナルズとしても全く後悔はないでしょう。 

Ryan Zimmerman, 2005(#4), Nationals こちらも改めて言うまでもありませんね。ワシントン移転後最初のドラフトで最初に指名した選手。しかも地元ヴァージニア大卒。その後しっかりと活躍し、まさにFace of Franchiseにふさわしい選手となりました。SIで特集が組まれたこともありましたが、この年の1巡目は野手に恵まれました。全体1位はJustin Upton(Dバックス)。2位がAlex Gordon(ロイヤルズ)。Zimmermanの次の5位がRyan Braun(ブリューワーズ)、7位がTroy Tulowitzki(ロッキーズ)、11位にAndrew McCutchen(パイレーツ)、12位がJay Bruce(レッズ)。少し下って23位にJacoby Ellsbury(レッドソックス)がいるという強烈なメンバーです。 

Anthony Rendon; 2011(#6), Nationals Strasburg、Harperと続いた後の2011年のドラフト1巡目。BAの直前ランキングで1位と評価されながら故障懸念でスリップ。6位でナショナルズが指名したときに、MLBネットワークのライブを見ていて大いに興奮したことを憶えています。同期に全体1位のGerrit Cole(パイレーツ)、3位のTrevor Bauer(Dバックス)、8位のFrancisco Lindor(インディアンス)、9位のJavier Baez(カブス)、11位のGeorge Springer(アストロズ)とスター選手がいる中で、現時点までの通算WARではRendonが1位に耀いています。 

Max Scherzer, 2006(#11), D-backs 高卒時には出身地セントルイスのカージナルスから43巡目で指名されたものの入団せず。ミズーリ大に進学し、しっかり評価を上げて1巡目。7位でClayton Kershaw(ドジャーズ)、10位でTim Lincecum(ジャイアンツ)が指名されたこのドラフトは、この3人で計8度のサイヤング受賞という投手大当たりの年でした 

Trea Turner, 2014(#13), Padres 高卒時にもパイレーツから20巡目で指名を受けましたが、ノースカロライナ州立大に進学し、駿足を活かして盗塁に絡む数多くの新記録を樹立。もっともドラフトとの関係でTurnerが有名となったのはむしろ指名後。2014年12月にレイズ、パドレス、ナショナルズの3チームが合意したトレードでナショナルズへの移籍が決まったにも関わらず、ドラフト指名から1年間はトレードできないという当時のルールにより2015年シーズンの開幕はパドレス傘下のAAで迎えざるを得ないという奇妙な状況に。6月にようやくナショナルズ傘下に移ることができましたが、この一件が元で後にルールが変更されることになりました。 

Joe Ross, 2011(#25), Padres ここまでで初めての高卒入団。ドラフトとしてはRendonと同期になります。パドレスでは全体10位のCory Spangenbergに続く2人目の指名でした。SpangerbergはMLB通算419試合でプレーし、Rossをわずかに上回る通算WARを記録していますが、今年からNPBの西武ライオンズでプレーする予定。Rossが追い抜くかな。 

1巡目補填: 
Sean Doolittle, 2007(#41), Athletics 高卒時にもブレーブスが39巡目で指名。ヴァージニア大に進み、投手兼一塁手として活躍。アスレティックスは野手として指名し、実際2009年までは野手としてプレーしていました(投手にコンバートされたのは故障で1年離脱した後、プロ5年目の2011年)。高校生なら珍しくない話ですが、大学生、それもヴァージニア大レベルの名門大学出身選手には珍しいキャリアです。今なら二刀流で育成されたかもしれませんね。 

2巡目: 
Kurt Suzuki, 2004, Athletics アスレティックスが同じドラフトの1巡目(全体24位)で指名したやはり大卒捕手のLandon Powellの影に隠れる形でプロ生活を始めましたが、勝ったのはSuzuki。2004年ドラフトで指名された全ての捕手で一番の成績を残しています。 

Patrick Corbin, 2009, Angels 2巡目と言っても、この年のエンゼルスは補填指名権がたくさんあったためCorbinは6人目の指名選手。ですが、同期ではTroutに続く成績を残しています(ちなみに、Corbinの前に指名された著名選手はRandal Grichuk、Garrett Richard、Tyler Skaggs)。 

Tanner Rainey, 2015, Reds 25人の中で最も新しいドラフト選手です(年齢はJuan Sotoが一番若いが)。Andrew Stevensonが入っていれば同じ2015年組でしたが、Stevensonがロースター入りしたのはワイルドカードゲームのみでした。 

4巡目: 
Javy Guerra, 2004, Dodgers テキサスの高校から入団。時間はかかりましたが、2011年にメジャーに到達しました。Guerraの通算WARは3.1と決して高いわけではないのですが、同期でドジャーズに入団した選手ではトップだったりします(高卒指名で入団しなかったDavid Priceを除く。)。 

5巡目: 
Daniel Hudson, 2008, White Sox 2008年というと私がブログを始めた年ですが、その最初のドラフト。ナショナルズの指名した選手で最も活躍したのは3巡目のDanny Espinosaでした。 

6巡目: 
Michael Taylor, 2009, Nationals フロリダ州の高校からショートとして入団。高校時代のチームメイトにMatt den Dekkerがいたそうです(フロリダ大に進学、メッツに入団した後、2015-2016年にはともにナショナルズに在籍)。 

8巡目: 
Brian Dozier, 2009, Twins ミシシッピ州の人口4000人の小さな町の農業高校でプレーしていた頃は全くの無名でしたが、南ミシシッピ大学野球部をその100年以上の歴史でただ一度のカレッジ・ワールド・シリーズ出場に導く活躍で評価を上げてプロ入りを果たしました。 

10巡目: 
Yan Gomes, 2009 Blue Jays ブラジル・サンパウロの生まれで有名ですが、12歳の時に家族でフロリダに移住。テネシー大2年時の2008年にレッドソックスから39巡目で指名されましたが契約せず、バリー大に移って少し評価を上げました。10巡目入団ながら、ブルージェイズ同期入団組ではトップのWARを記録しています。 

Howie Kendrick, 2002, Angels 高校時代は全く無名の存在で、大学からのスカラシップも得られず。地元フロリダのコミュニティカレッジに進学してプレーしていたところをエンゼルスのスカウトの目に留まり、入団となりました。他に見にきていたチームはなかったそうです。 

19巡目: 
Adam Eaton, 2010, D-backs オハイオ州では名の知れた高校生でしたが、ドラフト指名の声はかからず。大学も地元オハイオ州のマイアミ大(フロリダの名門マイアミ大ではない)で活躍し、リーグのオールスターに選ばれたりしましたが、ドラフト時の評価は19巡目という厳しいものでした。
23巡目: 
Matt Adams, 2009, Cardinals 25人の中で最も下位で指名を受けて入団したのがAdams。ペンシルベニア州で大学まで行きましたが、高校も大学でも特に注目を浴びることなく過ごしました。カージナルスの同期入団の出世頭はMatt Carpenterですが、彼も13巡目と比較的下位指名。また、21巡目にはTrevor Rothentalがいます。 

ドラフト外(中南米出身選手): 
Anibal Sanchez 
Wander Suero 
Fernando Rodney 
Victor Robles 
Juan Soto 
Adsrubal Cabrera 
Gerardo Parra 
  
指名順でみると、上位指名が多いことは当然ですが、意外にも3巡目指名がいません。指名年で見てみると、2009年ドラフト組(Strasburgと同期)が6人とやたら集中しています。2004年と2011年が2人ずついるだけでほか1人ずつ。
いかがでしたでしょうか?順当?意外?私が驚いたのはDoolittleが野手として指名されて3年もマイナーでプレーしていたことと、Dozierのローカルヒーローぶりですね。また、Kendrickを発掘したスカウトには感謝したいと思います

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